マツコデラックスがなぜ魅力的なのか? マツコデラックスに学ぶ
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- コンビ芸人型MCのときのマツコ「かりそめ天国」
- 王道型MCのときのマツコ 「アウト×デラックス」
- 記者型MCのときのマツコ『マツコの知らない世界』
- レポーター型MCのときのマツコ『マツコ会議』
- カメレオンのように使い分けのできるマツコ
4つの顔を持つ、万能タイプの司会者
「コンビ芸人型」
「王道型」
「記者型」
「レポーター型」
この四つの顔を使い分けることで、
幅広い役割をこなすことができる。
故にオファーが絶えないのです。
コンビ芸人型MCのときのマツコ「かりそめ天国」
マツコさんと言えば、
「思ったことをズバッと言う」「毒舌」「キレる」というイメージを持つ人がいるかもしれませんが、決してそれだけではありません。
特にMCとしてテレビ出演しているときは、共演者によってスタイルを変えています。
「かりそめ天国」は、有吉弘行さんとフラットな関係の“コンビ芸人型MC”。
トーク番組に出演したコンビ芸人を思わせるかけ合いで、番組を盛り上げています。
特徴的なのは、どちらかに主導権があるわけではなく、
「オレがオレが」と前に出ようとせず、
意見交換をしながら視聴者に問いかける形式を採る一方、
進行は女子アナさんに任せきりであまり絡みません。
これをほかのシーンにたとえるなら、対談に近い形式です。
「バランスを取ったり空気を読んだりするよりも、遠慮せずに発言して会話を活性化させよう」という点が共通しています。
実際、マツコさんも同番組では、トロトロオムライスを真っ向否定したり、芸能人の整形について熱弁したり、ほかの番組以上に“私見”で盛り上げています。
王道型MCのときのマツコ 「アウト×デラックス」
『アウト×デラックス』は、
コンビを組む矢部浩之さんの特性に合わせた“王道型MC”。
矢部さんは自らシュートを放つストライカーではなく、相手のシュートを受けるゴールキーパー型の芸人。
そのためゲストに話を振り、面白い部分を掘り下げ、大きなリアクションを取るのは、主にマツコさんが行っています。
つまり、マツコさんは純然たる司会者であり、矢部さんは女性アナウンサーのような役割。
画面の手前側にマツコさんが、その奥に矢部さんが座っていることからも、マツコさんがメインであることがわかります。
王道型MCでのマツコさんは、段取りを守りながらも、ゲストの話をせかすようなことはしません。
「MCとしてゲストの話を真正面から聞き、それを受けて大きく笑ったり、驚いたりする」という昭和の司会者を思わせる堂々とした姿を見せています。
記者型MCのときのマツコ『マツコの知らない世界』
『マツコの知らない世界』の見どころは、
週替わりのさまざまな専門家から、どうやってディープな話を聞き出すか。
それだけに、マツコさんの類いまれなるコミュニケーション力が見られる番組とも言えます。
専門家たちはタレントではありませんが、「自分の名前で仕事する」言わばセミプロのような準タレント。
タレント以上に面白い部分を持っているものの、
あくまで一般人だけに、マツコさんは丁寧な言葉づかいで迎え入れて、
「芸能人ではなく一般人の代表」という記者のような目線から、質問形式でトークを進めています。
食べ物や家電などがテーマの日は、「どれが何でおすすめなの?」と一般人の気持ちを代弁したり、「本当にいいの?」と疑ってみたり。
しかし、専門家との距離が縮まりはじめると、マツコさんのほどよいイジリが炸裂。
基本的にホメながらも、友人同士のような軽口や失礼なことを言って、専門家の魅力や本音を引き出しています。
ちなみに、このような“記者型MC”の代表格は、マツコさんも仲がいい黒柳徹子さん。
同番組でのマツコさんは、『徹子の部屋』で見せる黒柳さんのトークと相通じるものがあります。
相手の魅力や本音を引き出すためには、マツコさんのように聞き役に徹したほうがいいのです。
レポーター型MCのときのマツコ『マツコ会議』
マツコさんが一般人と会話を交わす『マツコ会議』『夜の巷を徘徊する』。
両番組でのマツコさんは、MCという“上から目線”ではなく、レポーターのような“下から目線”から一般人に話しかけています。
情報番組でよく見かけるレポーターは、
「忙しい中で時間をいただいている」という低い立場。
マツコさんもそれがわかっているから、一般人に対しては「邪魔してごめんね」「こんなこと聞いてもいいのかしら」などと丁寧に話しはじめますし、
いい話なら「ステキ!」「スゴイ!」と相手を持ち上げ、
調子に乗りすぎた人には「何だよ!」「やめろ!」とツッコミを入れるなど変幻自在です。
すばらしいのは、このような“レポーター型MC”のマツコさんと話した一般人は、「いい人」「面白い人」などのポジティブな印象が残ること。
一般人の目線では、トークがどう転んだとしても楽しいし、オイシイのです。
また、同じ一般人でも、スタッフに対しては厳しく接するのがマツコさん流。
「コノヤロー!」「ふざけんな!」と罵倒するシーンをよく見かけますが、これは計算づく。番組が盛り上げるポイントや回数を考え、身内を使って毒舌の出し入れをしているのです。
カメレオンのように使い分けのできるマツコ
これら4つのスタイルを使いこなせるMCは芸能界の中でもマツコさんだけ。
たとえば、明石家さんまさんは、コンビ芸人型やレポーター型をよしとしないでしょうし、爆笑問題の太田光さんも記者型やレポーター型は合わないでしょう。
マツコさんがパートナーやテーマを問わずにMCをこなせるのは、
4つのスタイルを使い分ける柔軟性があるからなのです。
口コミのよると、
売れっ子タレントになってからも、
庶民的で慎重な人柄や、本音で向き合う姿勢はまったく変わっていないそうです。
だからこそ自分本位ではなく、
パートナーに合わせたMCスタイルを使い分けられるのでしょうし、
それこそがこの世をうまく生きていくために必要な要素なのではないかと感じるのです。